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AI社員組織を作ってみた

AI社員組織を作ってみたのイメージ画像

2026年4月、SHIOパートナーズでは会社の活動を始めると同時にAI社員の構築を始めました。当時は、指示に答えるだけではなく、目的に合わせて作業を組み立てる「AIエージェント」が注目され始めた時期です。実務でどこまで使えるのかを確かめるなら、議論を続けるより、まず自社の仕事で動かしてみようと考えました。

ただし、万能なAIを一つ置いて何でも任せる形にはしませんでした。文章作成、法務確認、進行管理、デザイン、実装では、必要な知識も判断してよい範囲も異なります。そこで、それぞれに役割を持たせ、会社のように連携する「AI社員組織」として設計しました。

現在は、副社長、法務、人事、プロジェクトマネージャー、ライター、デザイナー、WEBコーダーの7つの役割で動かしています。この記事では、どのような体制を作り、実際に運用して何が良く、何につまずいたのかを紹介します。

7つの役割で始めた体制

AI社員組織の入口は副社長です。宛先が決まっていない依頼を受け、目的、期待する成果物、主担当、副担当、レビュー担当、人が判断すべき事項を整理します。各AI社員へ直接依頼することもできますが、複数の専門領域にまたがる案件は、副社長が最初に交通整理する仕組みです。

その下に、法務、人事、プロジェクトマネージャー、ライター、デザイナー、コーダーを置いています。組織図としては役職が並んでいますが、上下関係を再現したいわけではありません。仕事を受ける役、作る役、確認する役を分け、専門外の判断を一つのAIに抱え込ませないための体制です。

対外公開、契約締結、認証情報の利用、重要な事業判断などはAI社員だけで確定しません。AIが整理と作業を進め、判断材料をそろえたうえで、最終的には人が決めます。この線引きを体制の前提にしています。

各AI社員が担当する仕事

副社長:依頼の受付、優先順位の整理、担当者の振り分け、複数AI社員の調整を担います。社長(人間)が判断する事項を切り分け、案件全体を前へ進める役です。

法務:契約書や対外文書のリスク、著作権、商標、素材利用などを確認します。論点と修正文案は示しますが、契約を締結してよいかという最終判断は行いません。

人事:AI社員の成果物と活動記録を確認し、役割に沿って動いているか、権限を越えていないかを監査します。月次レビューを通じて、ルールや育成課題の改善案を作ります。

プロジェクトマネージャー:依頼をタスクに分け、担当、期限、依存関係、完了条件を整理します。制作そのものを抱えるのではなく、誰がいつまでに何を終えるかを見える状態にします。

ライター:コラム、SNS投稿、メール、プレスリリースなどの文章を担当します。媒体ごとの役割や読者を確認し、出典や公開後に見る指標まで含めて原稿を設計します。

デザイナー:アイキャッチ画像、図解、スライドなどの構成とビジュアル要件を整理します。サイズやトーンだけでなく、素材の権利、出典、画像内文字の扱いも確認対象です。

WEBコーダー:HTML、ファイル整備、スクリプト、自動化、表計算データの実装と検証を担います。作って終わらず、原稿との一致や表示、数式、バックアップまで確認します。

各役には、プロフィール、ミッション、権限、ワークフロー、KPIの5つを設定しています。得意な仕事だけでなく、決めてはいけないこと、確認が必要なこと、次に誰へ渡すかまで記載します。

AI社員を作るとは、名前や性格を付けることではなく、仕事の境界と判断のルールを文章にすることです。同じ依頼に対して品質が大きくぶれないよう、役割を業務設計として持たせています。

依頼は受付から承認まで流す

たとえばコラムを公開する案件では、ライターが本文やSNS原稿を作り、デザイナーが画像要件を整理し、コーダーがWebへ貼り付けやすいHTMLを作ります。プロジェクトマネージャーは公開日や確認期限を管理し、副社長が全体の抜けや人への確認事項を見ます。

ファイルの置き場所も役割で分けています。依頼はinbox、途中作業はworking、完成物はoutputs、判断や承認の履歴はlogsへ保存します。完成ファイルだけが残っても、なぜその形にしたのかが分からなければ、次の案件で同じ判断を再利用できないためです。

この仕組みは、AI同士に自由に会話させれば自然にできるものではありません。誰が受け、誰が作り、誰がレビューし、どこから人の判断になるかを先に決めることで、一つの依頼を組織の仕事として流せるようになります。

作って良かったこと

最も分かりやすい変化は、成果物が実務で使える状態に近づいたことです。SNS原稿であれば文章だけではなく、媒体別の書き分け、投稿時間、UTM、公開後の確認指標まで設計する。WEBコーダーへ渡せば、コピーしやすいHTMLになり、原稿との一致やスマートフォン表示まで確認されます。

法務では、契約書の論点、リスクの強さ、修正文案、人が判断すべき事項を分けて整理できます。データ整備では、見た目だけでなく数式やファイル構造も検証対象になります。一つのAIへ幅広く頼むより、専門役が受け渡すことで確認の粒度が上がりました。

もう一つは、社長が見るべき場所を絞りやすくなったことです。AI社員が作業と論点整理を済ませ、人が決める事項を明示してくれれば、すべての途中経過を追わなくても判断できます。AI社員組織は、単なる作業時間の短縮だけでなく、人の意思決定負荷を減らすための仕組みになりつつあります。

運用して分かった難しさ

一方、役割を決めただけでは、運用はきれいに分かれませんでした。進行管理役が文章制作まで抱えたり、別の担当が不足部分を善意で埋めたりする場面がありました。成果物が完成していると問題が見えにくいのですが、続けば一部のAI社員へ仕事が集中し、どの段階でどのような判断があったのかが見えなくなりました。

また、記録にもばらつきが出ました。実際には受付やレビューをしていてもログがなければ、組織としては何を判断したのか追えません。最終成果物、中間版、検証データ、バックアップが同じ場所に混ざると、次の担当がどれを正本として扱うか迷います。

原稿やHTMLを納品した時点で完了にすると、公開後の反応が次の仕事へ戻りません。作った、送った、公開しただけではなく、いつ結果を確認し、誰が学びを残し、次回何を変えるかまで完了条件へ含める必要がありました。

AIモデルやツールのバージョンが変わるたびに、同じ指示でも文章量、判断の慎重さ、ファイル操作の挙動が変わることもあります。役割設定を一度作れば終わりではなく、実際の出力を見ながら権限、指示、確認手順を微調整する作業が続きます。

社内から社外へ広げていく

現在のAI社員は、コンテンツ制作、契約レビューの補助、データ整備、組織監査など、SHIOパートナーズの社内業務を中心に動いています。まず自社で使い、どこまで任せられるか、どこで人の確認が必要かを確かめる段階です。

今後は、この運用を社外業務にも展開していく予定です。ただし、社内で動いた仕組みをそのまま顧客業務へ持ち込むのではなく、情報管理、権限、成果物の確認者、利用するツールを案件ごとに設計します。AI社員の人数を見せることより、顧客の業務で責任を持って使える状態を作ることを優先します。

具体的には、社外業務として、顧客データベースを確認し、前回の接点や関心事項から適切なタイミングを判断して、メールによるインサイドセールスを行う仕組みづくりを進めています。

現段階では、対象選定、送信時期、文面、送信可否をAI社員だけで完結できません。それでも、人のレビューを重ねる中で、候補抽出やメール案の精度は少しずつ上がっています。

社外業務では、コンテンツ運用やデータ整理など、完了条件と人の確認範囲を定義しやすい仕事から始めます。案件を通じて得た学びを役割設定や共通ルールへ戻し、AI社員組織そのものを更新していきます。

AI社員組織はまだ更新中

2026年4月に始めてから、役割分担、承認、記録、保存、公開後確認のルールを少しずつ足してきました。現時点でも完成形ではありません。AIのバージョン変更や担当業務の広がりに合わせて、今後も調整が必要です。

それでも、AIを個人が使う便利なツールから、複数の仕事を受け渡せる組織へ変えることで、見える課題は変わりました。どのAIを使うかだけではなく、誰に何を任せ、どこで人が判断するかを設計することが、実務で使い続けるための土台になります。

SHIOパートナーズのAI社員体制や構築方法について詳しく知りたい方は、気軽にご連絡ください。現在の運用で分かったことも含め、実際の業務へ置き換える際の考え方をご紹介します。